インボイス制度、年収1,000万円の場合いくら損する?新制度で影響を受ける人たちとは
インボイス制度、年収1,000万円の場合いくら損する?新制度で影響を受ける人たちとは
目次
インボイス制度のマイナス面とは
消費税の納付を免除されていた免税事業者がインボイス制度に登録して課税事業者になった場合、消費税の納税額が増えます。
また、インボイス制度に登録すると、2期前の売上に関係なく消費税を納めなければならなくなります。
インボイス制度に登録しないと、仕入れ税額控除ができなくなるため、仕事を依頼する側から値引きや契約解除を求められる可能性もあります。
どんな人が影響を受けるのか
消費税の納付を免除されている免税事業者でも、インボイス制度に登録しないと仕入れ税額控除ができなくなるため、仕入れ先から消費税を請求されます。
例:飲食店や個人タクシーなどの業種では、仕入れ先が課税事業者である場合が多く、インボイス制度に登録しないと仕入れコストが上昇する可能性が出てきます。
消費税の納付を免除されている免税事業者でも、インボイス制度に登録しないと顧客から消費税を請求できなくなります。
例:フリーランスのデザイナーやプログラマーなどの業種では、顧客が法人や課税事業者である場合が多く、インボイス制度に登録しないと売上が減少する可能性があります。
納めるべき消費税の割合とは
年収1000万円以下の免税事業者がインボイス制度に登録して課税事業者になった場合、消費税の計算方法によって納める消費税は、以下のようになります。
通常の課税方式を選択した場合
売上税額から仕入税額を控除して納める消費税となります。
仕入税額は、適格請求書(インボイス)を発行した課税事業者からの仕入れにかかる消費税額となります。
免税事業者からの仕入れにかかる消費税額は、インボイス制度開始から6年間は一部控除できますが、その後は全額控除できなくなります。
例えば、年間売上が1000万円(税別)、仕入が500万円(税別)で、そのうち300万円(税別)が免税事業者からの仕入れだった場合、納める消費税は次のようになります。
インボイス制度開始から3年目まで:1000×10/110−(500−300)×10/110−300×10/110×0.8=36.36−18.18−21.82=−3.64万円(還付される)
インボイス制度開始から4年目から6年目まで:1000×10/110−(500−300)×10/110−300×10/110×0.5=36.36−18.18−13.64=4.55万円
インボイス制度開始から7年目以降:1000×10/110−(500−300)×10/110=36.36−18.18=18.18万円
簡易課税方式を選択した場合
売上に対する一定の割合を掛けて納める消費税となります。この割合は、事業区分ごとに定められており、第1種から第6種まであります。
仕入れにかかる消費税額は控除できません。
例えば、年間売上が1000万円(税別)、仕入が500万円(税別)で、そのうち300万円(税別)が免税事業者からの仕入れだった場合、納める消費税は次のようになります。
第1種(卸売業):1000×(10/110)×(1−0.9)=4.55万円
第2種(小売業):1000×(10/110)×(1−0.8)=9.09万円
第3種(サービス業):1000×(10/110)×(1−0.5)=22.73万円
第4種(製造業):1000×(10/110)×(1−0.7)=13.64万円
第5種(建設業):1000×(10/110)×(1−0.6)=18.18万円
第6種(その他の事業):1000×(10/110)×(1−0.5)=22.73万円
インボイス制度の必要性とは
インボイス制度がなかった方がよかったという疑問もあるかもしれませんが、それは一面的な見方です。
インボイス制度は消費税制度の公平性や透明性を高めることで、国民全体の利益につながります。
また、インボイス制度は世界的な標準であり、日本も国際的なルールに適合することで、海外との取引やビジネスチャンスを広げることもできます。
インボイス制度は個人や企業だけではなく、日本全体の発展に寄与する制度だと言えます。
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